011 帰ってきた!

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 1月20日に銀ベスくんが帰ってきた。ほぼ二ヶ月ぶりのご対面です。
その2〜3日前にパグさんから「あとはチャンバーつけるだけ」と連絡を受け、当日出向いて装着しました。ワイヤー等の最終調整の為、近所を一周しようとキックを蹴るがいつものように2〜3回ではかからない。さすがに2ヶ月火が入ってないとかかりが悪いですね。

なんとかかかって アイドリグ→ストール を3〜4回繰り返すと白煙をもうもうと上げながらエンジンが本調子に戻ってくる。このエンジン音も久しぶりだなぁと感慨に浸りながらハンドルを握るとちょっと違和感が。なんのことはない、この二ヶ月ですっかり乗りなれた自転車がもっとハンドル幅が狭かったのだ。

こんなに幅広かったっけ?なんて思いながら走り出すと自転車よりも乗り心地が良い(当たり前)。全くベスパに乗る感覚を忘れていた。父親の単身赴任で久々にあった親娘がいざ顔を会わすとなんとなくぎこちない空気に・・・、ついそんなどうでも良い連想をしてしまった(笑。
 乗り心地を忘れていても左手ギアチェンジはきっちり覚えていて、そんなところも「離れていてもどこかで繋がっている=肉親」なイメージだ、変な話。

御見舞いの言葉をたくさん頂きまして改めて御礼申し上げますとともに、帰ってきた銀ベスくんをお披露目したいと思います。生まれ変わった姿はこちら!





ご覧の通り、ワインレッド/パールメタリック仕様 となりました!

事故以前はシルバー以外考えられませんでした。が、同じように事故後修理された-hiro-さんの綺麗なオレンジ色のET3を拝見して以来シルバー以外もいいなぁと思った、というのは以前にも書いた話。

シルバー以外ならクリームホワイトやアイボリーホワイト、ベタ過ぎるがロッソもいいなぁ、でも色が元気だと乗る方も気合がいるよなぁ・・・、じゃあジャガーグリーンは・・・あれやこれやと思い悩む。妻に「楽しそうね」と言われた。

でも、実際別の色にしようと思うといろいろと悩みがでてくる。気に入った色がオールペンしたら実際に同じ発色になるのか、なったとしてその色はベスパに似合うのか?出来上がってからでないと正味のところはわからない、大いに悩んだ。思い入れのある色でないとなかなか踏ん切れないところだ。

思い入れのある色・・・。

実はとても思い入れのある色がひとつある。それがワインレッドだ。

妻が社会人になって初めて買った車がワインレッドだった。
新車で購入するから好きな色で、と決めたそうだがセールスマンには当時珍しい色だったからか、「下取り出すときに不人気色だと値段が下がる」と勧められなかったそうだ。しかし軽自動車の小ささと丸っこい外見にマッチしてて存在感があったし妻は大変気に入っていた。

まだ付き合ってたころは彼女(妻)のくるまであちこちデートに行ったもので、遠出もよくした。
そんなこんなで私の好きな色ではなかったのにいつの間にか私も好きな色になっていた。

それが忘れられない色になったのが6年前、妻の軽が2回目の車検を迎えようとしていた当時結婚して間もなくのときのことだ。「将来子供が生まれてからでは買い替えがつらい」との理由で普通車を買うことになった。軽だと消耗も激しいし一度大きな事故をしている車体なのでここらが潮時だろうと思ったからだ。妻も賛成してくれたので自分の好きなメーカーの車を買うことになった(色はシルバー)。自分の車を買うのは初めてなのでかなり嬉しかったのを憶えている。

妻の車は査定がタダ同然だったが廃車にするのも忍びない、ということで引き取ってもらうことになった。いよいよ引き渡す前日に記念写真をとっておこうと近所の銀杏並木に妻の車を駆り出した帰り道、それまで普通に会話していた妻が突然涙をこぼした。妻としては愛着のある車と離れるのは辛いが「新しく車を買う」とはしゃぐ私をみて今まで感情を抑えてくれていたのだ。このとき私は妻の心情をくみ取ってやれなかった自分のうかつさを心底呪った。自分がベスパと離れることを思えば・・・

 こうしてワインレッドは楽しく過ごした思い出と悲しい別れによって忘れられない、思い入れのある色となってしまったのだ。だから仮に塗りに失敗したとしても後悔しない色はワインレッドしかない。他にベスパに似合う色はいろいろあるだろうが私が乗るベスパにはこれ以外ないと最終的に思った。村上春樹風にいえば「そうしないわけにはいかなかった」のだ。
 9割方決心していたとき「ワインレッドにしようかと思ってるんだけど」と妻に聞いてみた。

妻の瞳が輝いた。

それ以上の理由なんてない、決定である。