2011/5/10

東野圭吾『どちらかが彼女を殺した』(文庫版)




東京研修中の暇つぶし用に当時映画化で話題だった
「容疑者Xの献身」を買ってからの新参FANです。
読みやすい文でありながら人物描写が上手い作家さんです。
(おっさんを書かせたらピカいち!w)

で、ここ数週間は『どちらかが彼女を殺した』を堪能しました。
容疑者が2人に絞られ、犯人明かしが最後までないことで
話題になっていたこの作品、
「作品中の要素で推理が出来る」とのことだったので
チャレンジしてみました。

結果。

わかりませんでしたw

巻末袋とじの「推理の手引き」や
ネットの解説サイトを見ても、「それが根拠になるん?」
と頭の悪い私には理解できませんでした。

----------------以下ネタバレ注意!読みたい人は反転してください。------------------

睡眠薬の袋の破り方が2つとも右利きの人間によるもの、
しかし被害者の園子は箸と鉛筆は右、他は左利きであるから
園子が2つとも自分で破ったものではない → 園子の左利きを知らない人間による偽装
これにより加賀が「自殺ではない」と確信した根拠になる。

佃は右利きで1つ目を自分で破ったことを自供、
2つ目を誰が破ったかが犯人特定最大の根拠になります。

佳世子の利き手が右 → 右利き2名(佃・佳世子)となり、犯人特定できず
佳世子の利き手が左 → 右利きは佃のみ。巻末に康正が佳世子が薬袋を破っているのを
思い出して真犯人がわかったことから、消去法で佃と逆の利き手(つまり左)と推察される。

という解釈も考えられますが、そもそも犯人は
「園子が右利きと思って偽装した」のであるから
利き手が左でも、偽装のため右手で破るんじゃね?
と当然考えられ、「佳世子が(康正の前で)利き手(左手)で袋を破った」
   =「偽装で右手では破らない」とはならず、「佃が犯人!」と断言出来る
材料として弱いのではないでしょうか。

私は200P15行目の加賀の発言に注目します。
それに拠ると「左右」以外に「捻り(時計回り・反時計回り)」も加わり
紙類の破り方には4通りの破り方が示唆されています。
それが真犯人に繋がるのではないか?と考えますが、
良い仮説が浮かびません。
(絆創膏が剥がれかけてた謎も不明ですし。。。
そもそも目の前にテープがあるのに、なぜわざわざ絆創膏?!)

なので、結局結論が出せません。

--------------------ネタバレ終わり-----------------------

ただ、それがこの小説の価値を貶めてるかというと、全く逆で
一字一句、何度も読み返される前提で良く練られた文、
読み返すと見えてくるように巧妙に置かれたヒントは
良く出来たパズルのようで、ヒントを見つける度に
心が躍りました。

そして康正と加賀のおっさん二人の駆け引き!
康正と加賀が後日酒を酌み交わしてる場面を想像して
ニヤニヤしました。

優れた小説は再読に耐える、のは本当ですね〜。