銀べス君と付き合いだしてもう(まだ?)8年になります。通勤に使っているので距離も伸び現在30000kmオーバー。
使い勝手も良く、なくてはならない存在です。まだまだ永いお付き合いになりそう。
ベスパとの馴れ初め / 001



初めてベスパをみたのは学生時代、通学するバスからみえる京都の千本通り沿いのバイク屋の軒先でした。
一般的に京都のイメージといえば祇園祭・寺社仏閣・伝統などでしょうか。
生活した時の私の印象は「古いものと新しいものが同時進行している町」です。
古いものは古いもので今も生きているし、新しいものも古いものに憶することなく自己主張していて
清濁あわせ飲んで涼しい顔をしているこの町は非常にパワフルでタフ。

 そして京都で見たベスパはそんな京都の印象そのままでした。古いのに新しい、俗なのに清清しい。
相反する要素を矛盾することなく内包しているへんなバイクだなぁと。
でもまだそのときはここまで分析できてませんでした。
バスの車窓からそのへんてこなバイクをみて「あぁ、なんか景色となじんどるなぁ」と思っただけで
まだピンときてませんでした。

そんなこともすっかり忘れて数年後、年上の知人が見慣れないバイクに乗ってやってきました。
 「なんです、コレ〜?」
  「これはベスパっちゅうイタリアのバイクや」
 「へぇ〜、変わったん乗ってますねぇ」
  「50ccやねんけどな、坂道登らんわ非力やわで大変」
 「どうです?おもろいです?」
  「まあ、乗ってみい。」

知人の乗ってきたベスパはヴィンテージシリーズの50cc/紺色 でした。
変速をグリップ捻ってなんてありえない、などと戸惑いながら近くを一周。お約束通り国道の信号待ちでエンスト、
焦ってクラッチ握りニュートラルにもせずキックを蹴り再始動不能に。半泣きになりながら押しがけでエンジン始動、
知人のもとになんとか帰り着く。その間ものの10分弱。あんなひどい目に遭わされたのになぜか胸の高揚感が
収まらない。

 「なんですの、この変なバイク!」
  「なぁ、おもろいやろ。バッテリーもあらへんし排気音も’ぺぺぺぺー’って情けないし」

まだ興奮冷めやらない私はベスパにまたがったままそんな知人の誉めてるのかけなしてるのかわからない説明を聞いていました。

  「ホーンも変な音やねん」

知人の薦める(?)ままホーンボタンを押してみる。ポチッ

 「・・・・グエッ・・・・グエッ・・・・・・」
         ・
         ・
         ・
わはははははははははははははははははは!!!!!!

ひ〜〜っ!ひ〜〜っ!おなか痛い!!!

なんなんだ、この情けない音は

ベスパに惚れた瞬間でした。




普通は「ローマの休日」「さらば青春の光」「探偵物語」からベスパライフに入る方が多い中で
かなり少数派な惚れ方をした私。惚れたらあとは坂道を転げ落ちるように速かった(笑)。

近所でベスパ屋を探しパンフレットをもらって下調べ。

ビンテージシリーズの125ccET-3に狙いを絞り色もシルバーメタリックに決定。
125ccだと小型2輪免許が必要になるし、どうせならと中型2輪免許を取得し
(ベスパに乗るためにわざわざ中免取った人ってどれくらいいるんだろうか?教習所代7万円もかかるのに)
当時まだ新車で買えた再生産ET-3を注文しました。

 納車までの1日1日が非常に長く感じたのを覚えています。

 こうして妻以外のもう一人の相方、銀色のベスパとの生活が始まったのでした。



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